水まわり

トイレのボールタップを自分で交換する手順|水が止まらない原因の見分け方

ふたを外したトイレタンクの中で、ボールタップを交換している様子のイラスト

先に結論

  • 「水が止まらない」はタンクの水位を見れば切り分けられる。水位が高い→ボールタップ、水位が低い→フロートバルブが基本。
  • 部品はタンクの品番から選ぶ。わからなければ他社タンクにも付く汎用品という選択肢もある。
  • タンクレストイレや樹脂タンクの一体形、一部の節水型はメーカーが修理依頼を案内している。無理に開けない。

作業カード

難易度
初心者でもできる
作業時間
30分〜1時間半
人数
1人でできる
自分でやる費用
部品1千〜6千円前後+工具(家にあればほぼ0円)
業者に頼む費用
部品込み8千〜2.5万円前後(出張費込みの目安)

※費用は材料のグレードや地域、現場の状態で変わる目安です。

この記事の目次

使う道具

  • マイナスドライバー(止水栓の開け閉め)
  • モンキーレンチ(給水管の袋ナットの着脱)
  • ラジオペンチ(蝶ねじ・細かい部品に)
  • スポンジ・バケツ・雑巾(タンクに残った水を吸い取る)
  • ゴム手袋(タンク内は滑りやすい)

用意する材料

  • ボールタップ(または交換用バルブ・ダイヤフラム)(タンク品番に合うもの)
  • フロートバルブ(ゴムフロート)(水位が低いまま流れ続ける場合)
  • 交換用パッキン(給水管接続部のもの。部品に付属していることも多い)

トイレを流したあと、いつまでもタンクの中で「シュー」「チョロチョロ」と音がする。あるいは、レバーを引いてもタンクに水がなかなか溜まらない。水道代も気になるし、業者を呼ぶ前に自分で直せないかと調べている段階だと思います。

タンク式トイレのこうした症状は、多くがタンク内の部品の劣化で起きます。代表がボールタップ(給水する部品)とフロートバルブ(排水口のふた)です。どちらも数千円程度の部品で、手順どおりにやれば1人で交換できます。ただし、症状から原因部品を正しく切り分けないと、関係ない部品を買ってしまうことになります。

タンクの中の仕組み

タンクのふたを開けると、主に次の部品が入っています。

  • ボールタップ:給水管につながり、浮き玉(浮き)の上下で給水を開け閉めする。水位が下がると給水し、決まった水位で止める。
  • オーバーフロー管:タンク中央付近に立つ筒。水位が上がりすぎたとき、あふれた水を便器側へ逃がす。「WL」の刻印が標準水位の目安。
  • フロートバルブ(ゴムフロート):タンク底の排水口をふさぐゴムの栓。レバーと鎖でつながり、レバーを引くと持ち上がって水が流れる。

ボールタップが壊れると水位が上がりすぎてオーバーフロー管から流れ続け、フロートバルブが傷むと排水口のすき間から水が漏れ続けます。どちらも「水が止まらない」に見えるのが、切り分けが必要な理由です。

症状から原因部品を切り分ける

TOTOが組み合わせ便器向けに公開している確認手順をもとに、症状と原因部品を整理すると次のようになります。

症状タンク内で確認すること考えられる原因対処
水が止まらない水位が水位線より上。浮き玉を持ち上げると止まる水位の設定が高すぎる水位を調節する
水が止まらない水位が水位線より上。浮き玉を持ち上げても止まらないボールタップのバルブ・ダイヤフラムの劣化ボールタップの部品交換(または本体交換)
水が止まらない水位が水位線より下。レバーは元の位置に戻っているフロートバルブの外れ・摩耗、鎖の絡み付け直し、だめならフロートバルブ交換
水が止まらない水位が水位線より下。レバーが元に戻らないレバーハンドルの不具合レバーハンドルの交換
水が溜まらない・遅い止水栓が十分開いているか止水栓の開き不足止水栓を調節する
水が溜まらない・遅い給水フィルター(ストレーナー)のごみフィルターの目詰まりフィルターを掃除する
水が溜まらない・遅いフィルター掃除後も改善しないボールタップのダイヤフラム劣化ボールタップの部品交換

カクダイは、止水栓を閉めて30分ほど待ち、水位が下がるかどうかを見る方法も紹介しています。水位が下がっていけば排水側(ゴムフロートやオーバーフロー管)、変わらなければ給水側(ボールタップ)の不具合と判断できます。

止水栓を閉める

トイレの止水栓は、タンクにつながる給水管の途中(壁や床から出ている部分)にあります。多くはマイナスドライバーで右(時計回り)に回すと閉まり、左に回すと開くタイプです。レバーハンドルやつまみで操作するタイプもあります。

閉める前に、今どれだけ開いているかを数えておくと、作業後に元の開き具合へ戻せます。閉めたらレバーでタンクの水を流し、給水が止まったことを確認します。

部品の選び方

タンクの品番を確認する

ボールタップもフロートバルブも、便器・タンクによって適合する品番が違います。タンクのふたの裏やタンク側面、便器の後ろなどに貼られたシール・刻印でメーカーとタンク品番を確認します。

  • TOTO:品番検索画面やCOM-ETで、タンク品番から交換部品の品番を調べられます。部品はTOTOパーツショップでも購入できます。
  • LIXIL(INAX):LIXILストアで品番検索でき、製品品番やシリーズ名から適合部品を特定する方法も案内されています。
  • Panasonic:機種ごとのボールタップ交換手順を公開しています。

汎用品を使う場合

品番が消えている、メーカーの純正部品が手に入りにくいといった場合は、SANEIやカクダイなどの水栓部品メーカーが出している汎用(マルチタイプ)ボールタップという選択肢があります。カクダイは、メーカーを問わず多くの種類のタンクに取り付けられるボールタップを案内しています。ただし、給水の向き(横から給水か、下から給水か)、タンク内の寸法、節水型への対応などの条件があるので、パッケージの適合表で確認してから買いましょう。

手順

ここでは、横から給水するタイプのボールタップを例にします。細部はタンクの機種で違うので、購入した部品の説明書とメーカーの手順ページを優先してください。

トイレタンク内の浮き玉、ボールタップ、フロートバルブと水位線のイラスト

止水栓を閉め、タンクの水を抜く

止水栓を閉め、レバーを回してタンク内の水を流します。底に残った水はスポンジで吸い取り、バケツへ絞ります。

タンクのふたを外す

手洗い付きのふたは、裏で手洗い管がホースでつながっていることがあります。ふたを少し持ち上げてから、ホースの接続を外して下ろします。陶器のふたは重く割れやすいので、床にタオルを敷いて置きます。

給水管の接続を外す

タンクの外側で、給水管とボールタップをつないでいる袋ナットを、モンキーレンチでゆるめます。TOTOの手順では、タンク内側のボールタップを手で押さえながら、外側の袋ナットとツバ付きナットをゆるめて外します。管の中の残り水が出るので、雑巾を当てておきます。

古いボールタップを取り外す

外側のナットが外れたら、ボールタップをタンクの内側へ引き抜きます。パッキンが硬くなっていたら、新しいものに交換します。

部品だけを替える場合は、この段階でバルブやダイヤフラムを交換します。たとえばTOTOの一部の機種では、ピストンバルブを蝶ねじ2本で外して交換し、シートパッキンは径の大きい方をピストンバルブにはめ込むよう、向きに注意が促されています。

新しいボールタップを取り付ける

新しいボールタップをタンクの穴に内側から差し込み、パッキンの位置を確認します。内側を手で押さえたまま、外側のナットを締めます。浮き玉やアームがタンクの壁やフロートバルブの鎖に当たらない向きにそろえます。

LIXILは、ねじやボルトを必要以上に強く締めると、タンクや樹脂部品が破損するおそれがあるとしています。陶器のタンクは特に、締めすぎに注意します。

給水管をつなぎ、水位を調節する

給水管を元通りにつなぎ、止水栓をゆっくり開けます。水位がオーバーフロー管の「WL」の位置で止まるように調節します。TOTOによると、表示がない場合は管の先端から2〜3cm下が目安です。水位調節リングのある機種では、リングを90度回すと水位が約8mm変わるとされています。

流して確認し、ふたを戻す

何回か流して、給水が止まること、便器へのチョロチョロが止まっていること、タンクの外側や床に水が出ていないことを確かめます。問題がなければふたを戻して完了です。

フロートバルブを交換する場合

水位が水位線より下なのに便器へ流れ続けるなら、フロートバルブ側を見ます。TOTOの手順では、まずフロートバルブが排水口の突起から外れていないかを確認し、外れていれば正しくはめ直します。それで直らず、鎖にも問題がなければ、フロートバルブの摩耗が考えられます。

一般的な形のフロートバルブなら、鎖とフロートバルブを外して新しいものを付け、鎖を元どおりレバーにつなぐだけです。Panasonicは、鎖は弁が閉じたときに2環ほどたるむように調整するよう案内しています。鎖が張りすぎると弁が浮いて漏れ、たるみすぎると絡んで閉まらなくなります。

DIYをやめるべきケース

次のような場合は、部品交換の前にメーカーや業者へ相談した方が安全です。

  • タンクレストイレ、ウォシュレット一体形便器:TOTOはウォシュレット一体形で水が止まらない場合、利用者ができることとして給水フィルターの清掃を案内し、それで直らなければ販売店・工事店・TOTOメンテナンスへの依頼を案内しています。電気部品と給水部が一体になっているので、内部を開けるのはやめましょう。
  • 樹脂タンクの一体形や一部の節水型タンク:TOTOは、レスティカ・CSRシリーズのダイヤフラム交換や、デリシア・ロマンシアシリーズ(タンク番号S810B・S830B・S831B)、樹脂製タンクのウォシュレット一体形便器のバルブ交換については、販売店・工事店・TOTOメンテナンスへの依頼を案内しています。
  • 専用補修部品が必要な機種:LIXILも、作業に不安がある場合や専用補修部品が対象の場合は修理受付センターへの依頼を勧めています。
  • タンクの外や床に水が漏れている、タンクや便器にひびがある:部品交換では直らない可能性が高く、本体の交換を含めた判断が必要です。

自分でやる場合と業者に頼む場合の費用

費用はいずれも目安です。業者の料金は地域や時間帯(夜間・休日の割増)で変わります。

項目自分でやる業者に頼む
ボールタップ交換部品3千〜6千円前後部品込み1万〜2.5万円前後
フロートバルブ交換部品1千〜2.5千円前後部品込み8千〜1.5万円前後
工具マイナスドライバー・モンキーレンチがあればほぼ不要不要
作業時間30分〜1時間半+部品の手配30分〜1時間前後
向いている人品番が確認でき、止水栓が普通に回る品番がわからない、急いで直したい、タンクレス

部品代と業者料金の差は、1万円前後になることが多い作業です。ただ、部品を取り寄せている間は止水栓を閉めて水を流せないので、トイレが1つしかない家では、急ぎで業者を呼ぶのも十分に合理的です。

賃貸住宅なら、設備の修繕は原則として貸主側が行うもの(民法606条)なので、自分で部品を買う前に管理会社へ連絡しましょう(賃貸でできるDIYはどこまで?)。資格や指定業者が必要な工事の全体像は資格が必要な住まいの工事まとめで整理しています。

こうなったら業者に頼む

  • タンクレストイレ、ウォシュレット一体形(樹脂タンク)で水が止まらない
  • 止水栓が固くて回らない、閉めても水が止まらない
  • タンクの外側や床に水が漏れている、タンクや便器にひび割れがある
  • 部品を交換しても症状が直らない、同じ症状を繰り返す
  • タンク品番がわからず、適合部品を特定できない

無理に続けて傷口を広げると、最初から頼むより高くつくことがあります。見積もりは2〜3社から取ると相場がつかめます。

よくある質問

ボールタップとフロートバルブ、どちらが悪いかわかりません
タンクのふたを開けて水位を見ます。オーバーフロー管の水位線より上まで水があって管に流れ込んでいればボールタップ側、水位線より下なのに便器へ流れ続けていればフロートバルブ側が基本の見分け方です。
ボールタップ全体を替えず、中の部品だけ交換できますか?
機種によってはバルブやダイヤフラムだけを交換できます。TOTOはピストンバルブの交換手順を公開しています。本体が古く他の部分も傷んでいるなら、ボールタップごと替えた方が手戻りが少ないです。
自分で部品を交換しても法律上問題ありませんか?
水道法施行規則では、配管を伴わない給水用具の部品の取替えは「軽微な変更」とされ、指定給水装置工事事業者でなくても行える範囲です。タンク内部品の交換はこれに当たりますが、給水管の切断や延長が必要になる場合は業者に依頼します。
交換後、タンクの水位はどこに合わせればいいですか?
TOTOの案内では、オーバーフロー管に刻印された「WL」の位置が標準水位です。表示がない場合は管の先端から2〜3cm下が目安とされています。

参考にした資料

クレオンDIY編集部

住まいのDIYを「自分でやるか、頼むか」で判断できるように、メーカーの施工説明書や公的機関の情報をもとに記事を作っています。法令や製品仕様が変わったときは記事を更新し、更新日を明記しています。

※本記事は2026年9月28日時点の情報にもとづく一般的な解説です。作業はご自身の判断と責任で行い、製品の取扱説明書・施工説明書の指示を優先してください。電気・ガス・給水装置の工事など資格が必要な作業は、有資格者や指定業者に依頼してください。